ダウン症候群とウィリアムズ症候群の子どもにおける睡眠問題の症候群間比較



Cross syndrome comparison of sleep problems in children with Down syndrome and Williams syndrome.

Ashworth A, Hill CM, Karmiloff-Smith A, Dimitriou D.
Department of Psychology and Human Development, Institute of Education, London, UK. Electronic address: aashworth@ioe.ac.uk.
Res Dev Disabil. 2013 Mar 4;34(5):1572-1580. doi: 10.1016/j.ridd.2013.01.031.

ダウン症候群とウィリアムズ症候群の子どもにたびたび睡眠問題が発生するというこれまでの知見に基づき、これらの症候群の睡眠問題をより正確に定義することを目的として、両親からの報告とアクティグラフィー(睡眠覚醒判定法) を使って知見を拡張することを本研究は目的とする。ダウン症候群の学童年齢の子ども22人と、ウィリアムズ症候群24人、正常に発達した子供52人が本研究に参加した。各子どもは腕時計型のデータロガー(actiwatch)を最低で4晩装着し、両親は子ども睡眠習慣質問表(the Children's Sleep Habits Questionnaire (CSHQ))を記入した。睡眠問題は症候群に共通的に見られた。ダウン症候群の子どもは睡眠中断(sleep disruption)が最も多く、高頻度で時間も長い夜間覚醒と不穏状態(restlessness)を有する。両親からは睡眠呼吸障害の兆候や歯ぎしり、睡眠への抵抗、睡眠不安などを含むその他の問題も報告された。ウィリアムズ症候群の子どもは入眠障害があり、両親からは夜尿症や体の痛みなどの報告があった。これらの問題にもかかわらず、アクティグラフィーで測定した実質平均睡眠時間は、3グループの中では変化はなかった。子ども睡眠習慣質問表の報告は子どもの睡眠時間に関してはアクティグラフィーの測定結果と一致するが、睡眠遅れ(sleep latency)や不穏状態や夜間覚醒の変動には当てはまらない。ダウン症候群とウィリアムズ症候群の睡眠問題は共通的にみられる症状であり症候群特異的である。両親の報告には正確ではない部分があることから、リスクの高い子どもは睡眠診断の客観的尺度評価を受けることを推奨する。

(2013年3月)



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