ウィリアムズ症候群の幼児における睡眠問題と言語発達



Sleep problems and language development in toddlers with Williams syndrome.

Axelsson EL, Hill CM, Sadeh A, Dimitriou D.
University of New South Wales, School of Psychiatry, Faculty of Medicine, Australia.
Res Dev Disabil. 2013 Sep 9;34(11):3988-3996. doi: 10.1016/j.ridd.2013.08.018.

睡眠とそれに関連する母親の信条を、年齢幅を狭めた18人のウィリアムズ症候群児と正常に発達した子どもに対して評価を行った。ウィリアムズ症候群は希少な遺伝子疾患であり、身体的、認知的、行動的表現型が複合することを特徴としている。ウィリアムズ症候群の青年や成人においては睡眠障害の発生頻度が高いことが報告されている。両親に以下の6種類の調査票に答えてもらった。簡易乳児睡眠調査票(the Brief Infant Sleep Questionnaire)、乳児睡眠ビネット翻訳尺度(Infant Sleep Vignettes Interpretation Scale)、親のピッツバーグ睡眠品質指標(Pittsburgh Sleep Quality Index of Parents)、こども行動チックリスト(Child Behaviour Checklist)、乳児用マッカーサーコミュニケーション発達一覧−単語と身振り(MacArthur Communicative Development Inventory for  Infants - Words and Gestures)、IDC-10主要抑うつ一覧(the Major (ICD-10) Depression Inventory)である。親の報告によると、正常に発達した子どもに比べて、ウィリアムズ症候群の子どもは夜間睡眠が短く、目覚めや覚醒状態になることが多い。回帰分析を行った結果、ウィリアムズ症候群の子どもにおける言語発達評価の成績の分散の割合は夜間の睡眠時間で説明ができる。対照群の親に比べて、ウィリアムズ症候群の母親は自分の子どもの睡眠に問題があると記述する傾向が高く、子どもの睡眠に同座する割合も高い。しかし、彼らは睡眠問題を苦痛の兆候だと捉える傾向は低く、環境問題を強調する傾向が高い。両グループの母親の約半数が睡眠の質が低いことを経験している。これは母親の気分、及びウィリアムズ症候群の子どもの夜間の覚醒と関連がある。本研究は狭い年齢範囲のウィリアムズ症候群の幼児の睡眠障害を母親の報告をもとにして定量化した初めての研究である。母親の睡眠や気分への負の影響の可能性、およびウィリアムズ症候群の幼い子どもの夜間睡眠と言語発達の間の関連についてはさらに詳細な調査が必要である。

(2013年9月)



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