ウィリアムズ症候群の症状がない二卵性双生児の睡眠時脳波
Sleep-EEG in dizygotic twins discordant for Williams syndrome.
Bodizs R, Gombos F, Szocs K, Rethelyi JM, Gervan P, Kovacs I.
Ideggyogy Sz. 2014 Jan 30;67(1-2):59-68.
背景と目的:ウィリアムズ症候群の症状と一致する者と一致しない者の双子ペアに関する報告はすでに行われているが、この症例に関する睡眠生理学に関する研究はまだ行われていない。我々はこの空白部分を埋めるべく、睡眠前の覚醒状態(presleep wakefulness)や睡眠紡錘波にまで対象を広げてウィリアムズ症候群の症状と一致しない双子の片方の睡眠記録を分析した。
方法:MLPA法(multiplex ligation-dependent probe amplification)を用いて、17歳で性別が異なるウィリアムズ症候群の症状がない二卵性双生児の7q11.23領域を分析した。この年齢における実験室内で寝た時の睡眠ポリグラフを分析するとともに、携行型の睡眠ポリグラフ計を用いて1年半の期間経過観察を行った。睡眠ステージのスコアリング、脳波のパワースペクトルと睡眠紡錘波の分析を実施した。
結果:双子の兄は7q11.23領域においてすべてのプローブで増幅レベルの減少を示していて、これはFKBP6からCLIP2の間の少なくとも1.038Mbの典型的な欠失を示している。双子の妹の結果は、調べた範囲のコピー数は正常であった。双子の兄は睡眠時間が短く睡眠効率が低い一方で徐波睡眠の割合が高いことが両方の測定で明らかになった。ノンレム睡眠、ステージ2の睡眠、レム睡眠がおおよそ同じ割合であった。脳波を分析したところ、双子の兄においてアルファー波パワースペクトルにおけるステートと派生非依存減少、睡眠前の覚醒状態におけるアルファー波スペクトルピークの欠如、さらにノンレム睡眠のシグマ波のピーク周波数の高まりが明らかになった。より速く強度が低く継続時間が短い睡眠紡錘波が双子の兄の記録を特徴づける。スペクトルは二種類の状況(研究室と自宅)の間が高い信頼性で一致することを示している。
結論:睡眠およびアルファー波/シグマ波を含む神経の周期的振動の変化はウィリアムズ症候群における遺伝的側面である。
(2014年3月)
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