神経発達障害の子どもの睡眠障害の管理:レビュー



Management of Sleep Disorders in Children With Neurodevelopmental Disorders:A Review.

Blackmer AB(1,)(2), Feinstein JA(3,)(4).
Author information:
(1)Skaggs School of Pharmacy and Pharmaceutical Sciences, University of Colorado, Aurora, Colorado.
(2)Department of Pharmacy/Special Care Clinic, Children's Hospital Colorado, Aurora, Colorado.
(3)Adult and Child Center for Health Outcomes Research and Delivery Science, Children's Hospital Colorado, Aurora, Colorado.
(4)Division of General Pediatrics, University of Colorado, Aurora, Colorado.
Pharmacotherapy. 2016 Jan;36(1):84-98. doi: 10.1002/phar.1686.

神経発達障害は、式の脳の発達の変異が原因で、感覚器や運動機能、言語、会話などに行動的あるいは認知的な変異を発生させている疾患群である。神経発達障害は母集団のおよそ1-2%が発症する。神経発達障害の子どもの最大80%が睡眠に問題があり、その結果、日中の行動、認知、成長、全体的発達に悪影響があることが共通的にみられると報告されている。本レビューで議論される神経発達障害には、自閉症スペクトラム障害、脳性麻痺、レット症候群、アンジェルマン症候群、ウィリアムズ症候群、スミス−マゲニス症候群が含まれる。神経発達障害の子どもの睡眠障害の病因はまったく均一ではなく、疾患固有である。この集団における睡眠障害の診断と管理は複雑であり、療育につながる一貫したアプローチ方法につながるような上質のデータはほとんど存在しない。神経発達障害の子どもの睡眠障害を管理することは、子ども自身とその家族の両方にとって非常に重要であるが、この問題が難治性であるがゆえにうまくいかないことが多い。睡眠衛生は一次治療として実施されるべきである。もし睡眠衛生だけでうまくいかないときは、薬理的管理と組み合わせるべきである。よく用いられる薬理的介入、鉄分補給やメラトニン、さらに使用頻度が低い介入としてのメラトニン受容体刺激薬、クロニジン、ギャバペンチン、睡眠薬、トラゾドン、非典型的な統合失調症治療薬などの利用に関する入手可能な知見情報をレビューする。さらに、両親や擁護者に対して、睡眠障害の本質に関する適切な教育と、薬理的管理で最大限得られる適度な効果に対する期待を提供する。今後神経発達障害の子どもに対してきちんと計画された試行を行ってさらなるデータを収集することが、効率性や安全性の観点を含む睡眠薬物療法に対する理解を得るためには非常に大切である。それができるまで臨床医は、神経発達障害の子どもの集団の睡眠障害を管理する際に、限られた利用可能なデータや臨床専門家に頼らざるを得ない。

(2016年1月)



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