神経発生症候群の乳児や幼児の睡眠表現型
Sleep phenotypes in infants and toddlers with neurogenetic syndromes.
Abel EA(1), Tonnsen BL(2).
Author information:
(1)Department of Human Development and Family Studies, Purdue University, West Lafayette, IN, USA.
(2)Department of Psychological Sciences, Purdue University, West Lafayette, IN, USA. Electronic address: btonnsen@purdue.edu.
Sleep Med. 2017 Oct;38:130-134. doi: 10.1016/j.sleep.2017.07.014. Epub 2017 Aug1.
背景:
神経発生症候群の就学前児童や学齢期の児童において睡眠障害がよく見られるにもかかわらず、乳児や幼児におけるこれらの問題の早期出現に関してはほとんど知られていない。症候群特有のプロフィールや介入のターゲットを知るために、我々は、アンジェルマン症候群、ウィリアムズ症候群、プラダー・ウィリー症候群の乳児や幼児の睡眠障害に関する両親からの報告を、同じ年齢の正常に発達した対照群で見られるパターンと比較した。
手法:
80人の子ども(アンジェルマン症候群が18人、ウィリアムズ症候群が19人、プラダー・ウィリー症候群が19人、対照群が24人)の母親が乳児向け簡易睡眠質問表に回答した。一次独立変数には、(1)睡眠開始の遅れ、(2)総睡眠時間、(3)日中と夜間の睡眠時間、(4)睡眠障害の重症度が含まれ、母親の印象と全米睡眠財団(National Sleep Foundation)のガイドラインの両方で測定した。
結果:
睡眠障害は神経発生症候群の子どもには比較的共通してみられた。41%の親が睡眠に問題傾向があると報告しており、子どもの29%は全米ガイドラインにしたがって判断すると異常な睡眠時間を示した。遺伝子的なサブグループ間で比較した場合、障害はアンジェルマン症候群とウィリアムズ症候群で重症であり、特に夜間の睡眠時間との関連が強い。発達の後期になるとどの症候群でも非典型的な睡眠が特徴的であると報告されているが、プラダー・ウィリー症候群の乳児や幼児の大部分は典型的なパターンを示しており、仮に睡眠開始の遅れを示す場合は、プラダー・ウィリー症候群の医学的特徴と一致している。
結論:
我々が得た知見は神経発生症候群における睡眠障害は早くも乳児や幼児の頃から出現していることを示唆しており、遺伝子的なサブグループ間でさまざまなプロフィールを示す。本研究は早期睡眠スクリーニングを神経発生症候群の集団に対する定期的な医学管理の一環として実施することの重要性と、狙いを明確にした特定の症候群に向けた治療の必要性を強調している。
(2017年10月)
目次に戻る