認知手続課題における睡眠依存学習に関する症候群間比較



A Cross-Syndrome Comparison of Sleep-Dependent Learning on a Cognitive Procedural Task.

Joyce A(1), Hill CM(1), Karmiloff-Smith A(1), Dimitriou D(1).
Author information:
(1)Anna Joyce, Centre for Innovative Research Across the Life Course, Coventry University, England; Catherine M. Hill, Clinical Experimental Sciences, Faculty of Medicine, University of Southampton, England; Annette Karmiloff-Smith, Deceased 19th December 2016; and Dagmara Dimitriou, Lifespan Learning and Sleep Laboratory, University College London (UCL), Institute of Education, London, England.
Am J Intellect Dev Disabil. 2019 Jul;124(4):339-353. doi: 10.1352/1944-7558-124.4.339.

睡眠は新たに獲得した情報や技能を長期記憶に固定化する際に重要な役割を担っている。ダウン症候群やウィリアムズ症候群の子どもは、異常な睡眠構造などの睡眠障害や学習障害を経験することが多い。このため我々は、定型発達の子どもに比べて、「ハノイの塔」という認知手続課題に際してこれらの臨床集団の子どもは睡眠依存記憶固定化に障害を有していると予測した。ダウン症候群の子ども(n=17)、ウィリアムズ症候群の子ども(n=22)、定型発達の子ども(n=34)が「ハノイの塔」課題を実施した。被験者は午前中、あるいは夜間のどちらかに課題実施の訓練を受け、その後、それに続く覚醒している昼間や睡眠している夜間などの均衡する継続期間に再度課題を完了させた。定型発達の子どもとウィリアムズ症候群の子どもは、完成までの動きの数が減ることやルール違反の数を減らすなど、睡眠が記憶固定化を高めることに貢献していた。ダウン症候群の子どもに関しては、睡眠が学習に与える影響に関して大きな効果があることは確認できていない。これは、この子ども達が遅滞しているだけではなく、学習戦略が非定型であることを示唆している。重要なことは、われわれが得た知見は、特に新たな学習に日周性影響が考えられらたり、学習の援助として子ども達の夜間睡眠の役割など、すべての子ども達の教育戦略にとって意味がある。

(2019年6月)



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