複合的縦断研究手法を用いたウィリアムズ症候群の幼児における睡眠障害の初期症状



Early manifestation of sleep problems in toddlers with Williams Syndrome using a mixed method longitudinal approach.

Gwilliam K(1), Joyce A(2), Dimitriou D(3).
Author information:
(1)Lifespan Learning and Sleep Laboratory, UCL-Institute of Education, London, UK. Electronic address: kate.gwilliam.16@ucl.ac.uk.
(2)School of Psychotherapy & Psychology, Regent's University London, London, UK.
(3)Lifespan Learning and Sleep Laboratory, UCL-Institute of Education, London, UK. Electronic address: d.dimitriou@ucl.ac.uk.
Res Dev Disabil. 2020 Jun 3;104:103658. doi: 10.1016/j.ridd.2020.103658. Online ahead of print.

神経発達疾患を有する子どもは共通的に睡眠障害を経験する。多様な不均等認知特性を特徴とする稀少遺伝子疾患であるウィリアムズ症候群も例外ではない。定型発達をした子どもと比較すると、学齢期のウィリアムズ症候群の子どもは有意に不眠、すなわち短い睡眠時間、夜間覚醒回数の多さ、就床に対する抵抗、昼間の過度の疲労感などを経験している。定型発達児では睡眠障害は適度な日中の活動を妨げる。ウィリアムズ症候群では既存の障害をさらに複雑にする可能性がある。ウィリアムズ症候群の幼い子どもの睡眠を調べた研究はほとんどなく、この集団における睡眠障害の早期発症についてもほとんど解明されていない。これまでに行われた研究は両親からの報告に基づいており、ウィリアムズ症候群の幼児における睡眠パターンを縦断研究手法を用いて客観的に評価した研究はない。従って、本研究はウィリアムズ症候群の幼児における睡眠パターンを客観的に調査しようとするものである。38人の子ども(ウィリアムズ症候群13人、定型発達児25人)の親に、簡易幼児検査質問票(Brief Infant Screening Questionnaire)や医学/人口動態学質問票(Medical and Demographics Questionnaire)を記入してもらうとともに、睡眠パターンはアクティグラフィーを使って評価した。データは生後18か月、24か月、30か月時点で縦断的に収集した。睡眠妨害(disturbance)が18か月の時点でウィリアムズ症候群グループに有意に検出された。アクティグラフィーを使って計測された睡眠時間は全年齢でウィリアムズ症候群のほうが有意に短く、そのためにウィリアムズ症候群の子どもの両親からの報告には、夜間覚醒回数の多いこと、寝かせ付けにかかる時間が長いこと、両親の関わり方が高度であることなどが記載されている。重要なことは、アクティグラフィーのデータによって、定型発達児は年齢とともに睡眠の質が向上していくのに比して、ウィリアムズ症候群児では経時的な変化が見られないことである。これらの発見は、この症候群の集団に対する適切で適時な睡眠管理方法を導入し、子どもと両親にとっての睡眠を改善することにつながるためのアプローチにとても有効である。

訳者注: (2020年6月)



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