2歳のウィリアムズ症候群患者における睡眠の特徴と障害:言語や行動との関連
Sleep characteristics and problems of 2-year-olds with Williams syndrome: relations with language and behavior.
Greiner de Magalh?es C(1), O'Brien LM(2), Mervis CB(3).
Author information:
(1)Department of Psychological and Brain Sciences, University of Louisville, 317 Life Sciences Building, Louisville, KY, 40204, USA.
(2)Sleep Disorders Center, Department of Neurology, University of Michigan, Ann Arbor, USA.
(3)Department of Psychological and Brain Sciences, University of Louisville, 317 Life Sciences Building, Louisville, KY, 40204, USA. cbmervis@louisville.edu.
J Neurodev Disord. 2020 Nov 20;12(1):32. doi: 10.1186/s11689-020-09336-z.
背景:睡眠障害は定型発達した子どもや神経発達障害の範疇に入る子どもの両方で言語発達や行動に負の影響を与えることが示されている。ウィリアムズ症候群も子どもにおいて、睡眠の特徴や障害と言語や行動との関係は明らかになっていない。本研究の目的は2歳のウィリアムズ症候群患者におけるこれらの関係について述べることである。非言語的推論能力、夜間睡眠時間、昼間の過度の眠気と言語能力や行動問題との関連性について検討する。
手法:遺伝子検査で典型的な長さのウィリアムズ症候群特有の欠失を有すると確認された96人の2歳児が参加した。両親に小児向け睡眠質問票を記入してもらった。この質問票は昼間の過度の眠気を測定する副尺度を含む睡眠関連呼吸障害尺度を含んでいて、睡眠の特徴と障害を評価できる。両親には合わせて子どもの行動チェックリスト(CBCL)、マッカーサー乳幼児言語発達質問紙を記載してもらい、それぞれ行動問題と表現語彙を評価する単語や文章からなる。子どもには非言語推論や言語能力を測定するムーラン早期学習スケールを用いた。
結果:両親によれば、子どもたちは夜間に平均10.36時間(標準偏差=1.09、範囲 7.3-13)眠っており、定型発達の幼児を対象としたBellとZimmerman(2010)の調査結果の平均値と有意な差はない(p = .787)。被験者の16%は睡眠関連呼吸障害がスクリーニングで陽性であり、30%は昼間の過度の眠気が陽性であった。睡眠関連呼吸障害が陽性とスクリーニングされた子どもたちは陰性とスクリーニングされた子どもに比べて子どもの行動チェックリストのすべての尺度において行動問題が有意に多い。昼間の過度の眠気がある子どもたちは、昼間の眠気がない子どもたちに比べて、注意/多動、ストレス、外面型などの問題が有意に多い。両親から報告された夜間の睡眠時間と直接計測した非言語推論機能における個人差が、表現言語、受容言語、内面型問題における独特なバラつきの存在を説明している。両親から報告された昼間の眠気における個人差が、外面型問題の独特なバラつきの存在を説明している。
結論:夜間睡眠時間、睡眠関連呼吸障害のスクリーニングで陽性、昼間の過度の眠気とウィリアムズ症候群の幼児の言語能力や行動との関係は、定型発達の幼児でこれまでに見つかっている知見と類似している。この結果はウィリアムズ症候群の幼い子どもを睡眠障害でスクリーニングすることの重要性に焦点を当てている。ウィリアムズ症候群の子どもにおける睡眠を改善するための行動戦略の効率を調査する研究を行うべきである。
(2020年11月)
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