記憶固定に対する睡眠の役割:非定型発達から学ぶことは?



Sleep's role in memory consolidation: What can we learn from atypical development?

Luongo A(1), Lukowski A(2), Protho T(1), Van Vorce H(1), Pisani L(1), Edgin J(3).
Author information:
(1)Department of Psychology, University of Arizona, Tucson, AZ, Unites States.
(2)Department of Psychological Sciences, University of California Irvine, Irvine, CA, United States.
(3)Department of Psychology, University of Arizona, Tucson, AZ, Unites States; University of Arizona Sonoran UCEDD, Tucson, AZ, United States. Electronic address: jedgin@email.arizona.edu.
Adv Child Dev Behav. 2021;60:229-260. doi: 10.1016/bs.acdb.2020.08.001. Epub 2020 Nov 20.

過去一世紀にわたって実施された研究によれば、記憶の固定を含む健康な認知や発達を導くプロセスには睡眠が何らかの役割を果たしていることを示唆してきた。知的障害や発達障害(知的発達障害)を有する子どもは睡眠障害を呈する割合が高い傾向があり、行動問題・発達遅滞・学習障害などにも関係している可能性がある。知的発達障害の子どもにおいて睡眠が日中の困難さや注意欠陥を悪化させているかどうかに関していくつかの研究で調査が行われたが、本章では定型発達したグループと学習障害のリスクを抱えたグループにおいて睡眠と記憶固定に関して得られている知識の現状に焦点を当てる。特に本章では、ダウン症候群、ウィリアムズ症候群、自閉症スペクトラム障害、学習障害(注意欠陥多動性障害と失読症)を含む発達障害全般の睡眠依存学習を取り上げた現状の文献を要約する。合わせて現行お文献内に存在するギャップに焦点を当て、異なる知的発達障害を有する子どもにおける睡眠依存学習に関する研究の難しさを明らかにする。この新しい発芽的研究分野は、こどもの記憶プロセスを評価することにおいて、長い遅延時間にわたって記憶を維持する際に睡眠が果たす役割を考えることの重要さに焦点をあてる。さらに、定型発達と非定型発達の両方を理解することによって、そのお互いが記憶における睡眠の役割に関する最新理論に新たな知識を付け加える。

(2021年3月)



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