短報:唾液に含まれるコルチゾルが日内変動しないことがウィリアムズ症候群青年の睡眠障害と不安亢進に関係している
Short Report: Lack of Diurnal Variation in Salivary Cortisol Is Linked to Sleep Disturbances and Heightened Anxiety in Adolescents with Williams Syndrome.
Hayton J(1)(2), Azhari A(3), Esposito G(4), Iles R(5), Chadiarakos M(1), Gabrieli G(6), Dimitriou D(1)(2), Mangar S(7).
Author information:
(1)Sleep Education and Research Laboratory, UCL Institute of Education, 25 Woburn Square, London WC1H 0AA, UK.
(2)Psychology and Human Development,UCL Institute of Education, London WC1H 0AA, UK.
(3)Psychology Programme, School of Humanities and Behavioural Sciences, Singapore University of Social Sciences, Singapore 599494, Singapore.
(4)Affiliative Behaviour and Physiology Lab, Department of Psychology and Cognitive Science, University of Trento, 38068 Rovereto, Italy.
(5)Department of Veterinary Medicine,University of Cambridge, Cambridge CB2 1TN, UK.
(6)Neuroscience and Behaviour Laboratory, Italian Institute of Technology, 00161 Roma, Italy.
(7)Department of Clinical Oncology, Imperial College Healthcare NHS Trust, Charing Cross Hospital, London W6 8RF, UK.
Behav Sci (Basel). 2023 Mar 3;13(3):220. doi: 10.3390/bs13030220.
目的:本研究の目的はウィリアムズ症候群の青年の睡眠パターン、コルチゾルレベル、不安プロフィールの間にあると思われる関係を調べ、定型発達を遂げた青年のそれと比較することである。
手法:ウィリアムズ症候群の青年13人と、定型発達を遂げた青年13人(年齢範囲12-18歳)が参加した。睡眠計画、MotionWareアクティグラフィー(睡眠覚醒判定法) 、児童睡眠習慣質問票(the Childhood Sleep Habits Questionnaire (CSHQ))、スペンス児童用不安尺度(Spence Children's Anxiety Scale)、唾液中コルチゾル収集キットとその説明書で構成される検査キットを被験者に提供した。
結果:ウィリアムズ症候群の青年グループでは唾液に含まれるコルチゾルの日内変動は検知されなかった。ウィリアムズ症候群グループは、児童睡眠習慣質問票の下位項目である夜間覚醒と睡眠時異常行動の2項目で有意に高い評点が報告された。アクティグラフィーによれば、ウィリアムズ症候群グループだけが有意に長い睡眠潜時が観察された。定型発達グループとの比較では、ウィリアムズ症候群グループのほうが有意に高い不安を有していた。期待通り、定型発達グループは典型的なコルチゾルの日内変動を示したが、ウィリアムズ症候群グループは一日を通してコルチゾルは平坦なプロフィールを示した。
結論:発達の観点で考えると、本研究はウィリアムズ症候群の青年において睡眠障害は一過性ではなく持続し続けるという結論を支持する新しいデータを提供した。今後の研究は、ウィリアムズ症候群患者におけるコルチゾルの役割、それと不安レベルや生涯にわたっての睡眠障害との相互作用を調べることを検討すべきである。
(2023年4月)
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