Williams症候群とその視空間認知障害



Williams syndrome and its deficiency in visuo-spatial recognition

中村 みほ
名古屋大学 博士論文
報告番号:乙第5898号
授与年月日平成13年4月27日

5人のウィリアムズ症候群児の視空間認知能力に注目して検査を行った(4人は男児で、それぞれ年齢は9歳3ヵ月、7歳11ヵ月、8歳1ヵ月、10歳8ヵ月であり、残りは6歳3ヵ月の女児)。

最初に図形模写課題を実施し、図形模写に障害があることが確認された。次に、K-ABCを使って心理処理能力を評価した。K-ABCは客観的なテストで、日本で一般的に用いられており、空間定位を含む流動的な(Fluid)能力を測定できることから本研究で採用した。検査の結果、空間記憶サブテストの成績が有意に低く、空間定位能力に障害があることを示唆している。最後に、障害を克服する方法を推測した。線分模写課題において、色情報を付加することで成績が改善した。

上述の結果から、腹側経路が比較的保存されているのに比して、背側経路における障害が影響を与えていることが推測される。

(2004年6月)



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