ウィリアムズ症候群における顔認識および注視処理中の脳の異常な活性化
Anomalous brain activation during face and gaze processing in Williams syndrome.
Mobbs D, Garrett AS, Menon V, Rose FE, Bellugi U, Reiss AL.
Department of Psychiatry & Behavioral Sciences, Stanford University School of Medicine, CA 94305-5719, USA.
Neurology. 2004 Jun 8;62(11):2070-6.
目的:
ウィリアムズ症候群において比較的保存されている顔認識識処の基礎をなしている個々の神経システムを調査する。
方法:
臨床的および遺伝子的に診断されたウィリアムズ症候群被験者11人と、年齢と性別を一致させた健常な対照群11人に対して、機能MRI(fMRI)を使って顔認識識処および方向注視処理(eye-gaze direction processing)能力を相互に比較した。
結果:
対照群と比較して、ウィリアムズ症候群被験者は、注視する方向を決める正確さに劣る傾向が強いこと、反応潜時(response latencies)が有意に長いことが判明した。ウィリアムズ症候群グループにおいて、有意な活性化が右紡錘回(fusiform gyrus (FuG))と前頭葉や側頭葉の数箇所で観察された。一方、対照群では、紡錘回の両側と後頭葉および側頭葉で活性化が観察された。両群を比較したところ、ウィリアムズ症候群被験者は、右の下・上・中前頭回、全部帯状回(anterior cingulate)、前部視床や尾状核を包囲する皮質下領域の数箇所におい活発な活性化が観察された。逆に対照群では一次および二次視覚野部分の皮質で強い活性化が見られた。
結論:
ウィリアムズ症候群被験者で観察された活性化パターンは前頭や側頭領域の神経機能は維持されていることを示唆している。これは課題の難度や代償機構の結果であると想像される。ウィリアムズ症候群の患者は視覚野部分に障害を持っている可能性があり、全体を統合したり顔認識および注視処理の視空間側面に混乱を与えているかもしれない。
(2004年7月)
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