Williams症候群の神経心理学
特集「発達神経心理学」
永井知代子
神経心理学,20巻02号,2004年
Williams症候群(WS)は第7染色体の半接合体欠失による隣接遺伝子症候群である.言語機能良好/視空間認知不良など特異な認知機能パターンをとることから,近年認知神経科学分野で注目されている。当初は言語・視空間認知など認知モジュールの生得説を支持する存在と考えられたWSだが,最近の研究からは言語モジュールが保たれているのではなく,むしろあらゆる機能に関して通常とは異なる情報処理を行っていることが示唆されている。欠失部位に含まれる約20の遺伝子のうち,脳で発現する遺伝子は独特の認知機能形成に関わる可能性があり,その働きと認知機能の特徴の関係をあきらかにするのが今後の課題である。
(2004年8月)
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