ウィリアムズ症候群の成人に関する加齢による記憶の変化



Age-associated memory changes in adults with williams syndrome.

Devenny DA, Krinsky-McHale SJ, Kittler PM, Flory M, Jenkins E, Brown WT.
Dev Neuropsychol. 2004;26(3):691-706.

15人のウィリアムズ症候群の成人(平均年齢=48.3歳、標準偏差=14.7歳、平均IQ=62.9、標準偏差=8.5)に対してエピソード記憶と作業記憶の加齢による変化を測定し、その結果を病因が不明である33人の精神遅滞患者平均年齢=54.2歳、標準偏差=8.9歳、平均IQ=61.7、標準偏差=6.5)と比較した。ウィリアムズ症候群のグループでは、自由再生(free recall)課題とエピソード記憶の成績は年齢が高いほど若いグループに比べて有意に低くなる。この発見は正常な加齢現象と同じだが、ウィリアムズ症候群の成人の場合は低い年齢から発生し、一方で原因不明の精神遅滞のグループにはみられない。両グループとも逆方向数唱課題(backward digit span task)と作業記憶の測定で加齢とともに成績が少し下がるが、ウィリアムズ症候群のグループでは、逆方向数唱課題に関する成績の下がり方は自由再生課題にくらべて緩やかである。この研究からの発見は、ウィリアムズ症候群の成人においてエピソード長期記憶の低下が普通より若い年齢で始まり、その加齢の影響による低下の程度が大きいことを示唆している。

(2004年11月)



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