ウイリアムズ症候群の認知障害の特徴
− K-ABCとWISC-3による特徴の検討 −
資料番号4−3−04と関連する内容です。4−3−04は被験者が2名でしたが、本報告では6名が対象になっています。
(2005年5月)
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本間 朋恵 1) 、仙石 泰仁 2)、中島 そのみ 2)、吉田 雅紀 3)、富田 英(MD) 4)、舘 延忠(MD) 1)
1)札幌医科大学 大学院 保健医療学研究科 発達障害学分野
2) 札幌医科大学 大学院 保健医療学研究科
3)北海道療育園
4) 札幌医科大学 医学部 小児科学講座
作業療法 23巻 特別号 2004年5月、383ページ
はじめに
ウイリアムズ症候群(以下、WS)は第7染色体上の遺伝子欠失による隣接遺伝子症候群である。出生頻度はおよそ2万人に1人である。主症状は、精神運動発達遅滞、心血管系異常、低身長、妖精様顔貌といわれる特有の顔貌、人なつこい性格などで、特に注目されているのは、言語機能は比較的保持されているのに対して、積木課題や模写課題などの視空間認知機能は著しく劣っているという特徴的な認知障害をもっていることであるIQは平均55である。認知障害の原因は、認知に関わっている遺伝子の欠失によるものと考えられている。欠失している領域の遺伝子は確認されているが、機能はほとんど明らかになっていない。また、認知的特徴に関する報告も少ないため、障害像が十分に把握されていない。認知的特徴を詳細に評価することによってWSで失われている能力が明らかになり、欠失領域内の遺伝子の働きを解明することに貢献できると考える。
本報告では、K-ABC心理・教育アセスメントバッテリー(以下、K-ABC)とWISC-3の評価点の比較を行い、WSに生じる認知障害の共通性について検討したので報告する。
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