ウィリアムズ症候群における遺伝的に異常な認知と神経の関係



 下記日本語訳は原著論文を紹介する形でネイチャー・ジャパンのウェブサイトに(http://www.natureasia.com/japan/nature/updates/nn.php?id=1269)掲載されていました。

(2005年10月)

−=−=−=−=−=−=−=−=−=−=−=−=−=−=−=−=−=−=−=−

Neural correlates of genetically abnormal social cognition in Williams syndrome.

Meyer-Lindenberg A, Hariri AR, Munoz KE, Mervis CB, Mattay VS, Morris CA, Berman KF.
Section on Integrative Neuroimaging, National Institute of Mental Health, National Institutes of Health, Department of Health and Human Services, Bethesda, Maryland 20892, USA. andreasml@nih.gov.
Nat Neurosci. 2005 Aug;8(8):991-3. Epub 2005 Jul 10.

認知障害その他の症状をもつ遺伝子疾患であるウイリアムズ症候群の人々は、並外れて人なつっこく社交的な反面、極端な心配性でもある。Nature Neuroscience誌8月号の論文によれば、患者は不安に関与する脳領域が異常に活性化している。この発見はこのまれな遺伝子疾患に冒されている神経回路の位置を正確に示すのに役立つかもしれない。 Andreas Meyer-Lindenbergらはウイリアムズ症候群の成人が、感情をあらわにした顔や恐ろしい場面の絵を見ているときの脳を画像化した。脅威を感じるような状況に起こる情動反応の制御にとって重要かもしれない脳の回路は、怒った顔に対してはあまり活性化しなかったが、恐ろしい場面に対しては非常に強く活性化した。ウイリアムズ症候群は遺伝するので、この結果から、社会的、情動的行動に対する脳の仕組みの働きが遺伝子によって変わるようすに光が投じられる可能性が示唆される。



目次に戻る