ウィリアムズ症候群の人々および正常に発達したこども達における複数オブジェクト追跡



Multiple object tracking in people with williams syndrome and in normally developing children.

O'hearn K, Landau B, Hoffman JE.
Johns Hopkins University.
Psychol Sci. 2005 Nov;16(11):905-12.

複数オブジェクト追跡には、視認されたオブジェクトの中の一部に対してすばやく複数同時にアクセスできる手がかりを提供し、その結果様々な空間課題を実行可能にする視覚インデックスが利用されているという仮説がある。我々は、うまくインデックス作成できないことがウィリアムズ症候群で見つかる重度の視空間障害に何らかの影響を与えているかどうかを調べた。ディスプレイ上に表示された8種類の異なるオブジェクトに対してそのうちの1個から4個を追跡するように被験者に指示した。オブジェクトは止まっている(静止状態)と、それぞれがばらばらでランダムに動いている(移動状態)で6秒間表示され、その後被験者が目標だと考えたオブジェクトを指し示す。ウィリアムズ症候群の被験者は、精神年齢を一致させた対照群と比較して、移動状態には問題があったが静止状態では問題は無かった。精神年齢を一致させた対照群よりも低年齢の正常なこども達にはウィリアムズ症候群の被験者と同様のプロフィールは観察されておらず、このことはウィリアムズ症候群の被験者がこの課題で示した差異が単に発達的な未成熟を反映したものではないことを示唆している。エラー分析の結果、すべてのグループで、しばしば目標の隣のオブジェクトを指し示す「あてにならない(slippery)」インデックスが利用されていることが判明し、さらに、ウィリアムズ症候群の被験者はこの病気ではない人と比較してより少数のインデックスをしか利用していないことも示唆している。

(2005年11月)



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