ウィリアムズ症候群の子どもにおける頭頂後頭域灰白質の異常
Parieto-occipital grey matter abnormalities in children with Williams syndrome.
Boddaert N, Mochel F, Meresse I, Seidenwurm D, Cachia A, Brunelle F, Lyonnet S, Zilbovicius M.
ERM 0205 INSERM-CEA, Service Hospitalier Frederic Joliot, 4, place du General Leclerc, 91406 Orsay, France; Service de Radiologie Pediatrique, Necker Enfants-Malades, Paris V, 149 rue de Sevres, 75015 Paris, France
Neuroimage. 2005 Dec 24.
ウィリアムズ症候群は神経発達疾患の一種であり、染色体7q11.23の半接合欠失を原因とする。ウィリアムズ症候群の表現型には典型的な異形症特徴・大動脈弁上狭窄・乳児期の高カルシウム血症・成長遅滞などがある。言語と顔貌認知は比較的維持されているが視空間構築障害があることがウィリアムズ症候群の神経行動プロフィールの特徴である。この明確に定義された神経発達障害の原因となる構造的異常を調べるために、9人のウィリアムズ症候群の子ども(11.6歳 +/-3.1歳;年齢範囲:5.5〜15歳)に対して体積素を単位とした形態計測(voxel-based morphometry(VBM))を目的として解剖学的MRI検査を実施した。VBMは自動的に脳全体の灰白質と白質の濃度を体積素単位に評価する計測技術である。ウィリアムズ症候群の子どもの左側の頭頂と後頭域の灰白質濃度が有意に減少している(P < 0.05、最高閾値で補正)ことが検出された。ウィリアムズ症候群の子どもにみられるこの異常の位置は、13人のウィリアムズ症候群の成人に対して同じ手法ですでに発見されている構造的異常と同じ場所である。これらの頭頂後頭域の異常は、視空間構築や数値に関する重度の障害を含むウィリアムズ症候群の認知プロフィールと矛盾しない。成人と子どもに構造的異常が共通的にみられることは、この原因が早い時期に発生していることを主張している。さらに我々の研究は、子どもたちに対して先進的構造イメージング技術を適用することで、明確に定義されている遺伝子病に関連している神経行動的表現型をよりよく理解できることを示した。
(2006年1月)
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