ウィリアムズ症候群の聴覚過敏症:その特徴と関連する神経聴能性異常
Hyperacusis in Williams syndrome: characteristics and associated neuroaudiologic abnormalities.
Gothelf D, Farber N, Raveh E, Apter A, Attias J.
Behavioral Neurogenetics Center, Schneider Children's Medical Center of Israel, Petah Tiqwa, Israel. gothelf@post.tau.ac.il
Neurology. 2006 Feb 14;66(3):390-5.
背景:
聴覚過敏症と音恐怖症(phonophobia)はウィリアムズ症候群の患者を弱らせる共通的兆候だが、その根底にある聴能学的あるいは神経学的処理過程はほとんど解明されていない。
手法:
49人のウィリアムズ症候群の患者の母親に聴覚過敏症スクリーニング質問表を記入してもらった。聴覚過敏症があると報告された被験者のうちで十分な能力発達がある被験者に対して、聴能性理解力テストおよび聴性脳幹反応テスト(brain auditory evoked response (BAER) testing)を実施した。その結果は条件をそろえた正常に発達した対照群と比較しされた。
結果:
ウィリアムズ症候群のこども49人中41人(84%)に中度から重度の聴覚過敏症があり、乳児期から始まっている。そのうち21人(平均年齢15.8歳、+/-5.5歳)は音量テストを受けた。ウィリアムズ症候群の被験者は対照群にくらべて平均20db以上低い音量から不快感があると報告している。純音聴力検査と歪成分耳音響放射検査を行った結果、高音域蝸牛難聴であることが判明した。最大刺激に対する同側性聴覚反射反応がないことは、対照群にくらべてウィリアムズ症候群の被験者のほうに多くみられた。聴性脳幹反応テストにおいて、ウィリアムズ症候群のグループは波長I遅延において優位な延長(prolongation)があった。
結論:
ウィリアムズ症候群の聴覚過敏症は高音域難聴と関連しており、騒音性難聴の発生機序と似ている。ウィリアムズ症候群における聴覚過敏症と難聴は、聴覚神経の機能不全に端を発した聴覚反射聴覚反射欠乏に起因する可能性がある。ウィリアムズ症候群患者に聴覚過敏症を発生させる別のメカニズムがある可能性も残っており、補充・顔面部小管(facial canal)の異常・エラスチン遺伝子のハプロ不全等を含むさらなる研究が必要である。
(2006年2月)
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