発達性かつ後天性失読症



Developmental and acquired dyslexias.

Temple CM.
Developmental Neuropsychology Unit, Department of Psychology, University of Essex, Wivenhoe, UK. tempc@essex.ac.uk
Cortex. 2006 Aug;42(6):898-910

マーシャル(Marshall,1984)は読字に関する発達性障害の子どもと、後天的な読字障害の成人が類似している可能性に焦点をあてた。彼は発達性失読症を含む認知機能の発達性障害をもつ子どもの検査に認知神経心理学的枠組みを利用することを提唱した。発達性音韻失読症(Developmental phonological dyslexia)について詳しく記述されており、発生頻度の高い障害(pervasive disorder)である。発声音韻課題(explicit oral phonological tasks)で明らかになっている、読字障害と音韻障害の間の関係はまだ議論の中心になっている。今回は重度の発達性失読症の事例を紹介し、症候群としてはウィリアムズ症候群の初期読字発達を紹介する。また、名唱や語彙理解など他のドメインにおける意味的エラーや、まとまりのある意味詳細を活性化できない一般的機な障害についても紹介する。数字のドメインにおいて、意味エラーの頻度が高い極端に選択的な読字障害も記述されていて、これは意味的読字障害は高度にドメイン依存であることを示している。この症状は、アラビア数字を読む能力にはまったく障害がなくても数詞に対して発生したり、他のドメインの文字を読む能力に問題がなくてもアラビア数字や数詞にたいして発生する可能性がある。書字を読む事に関する現在のモデルでは、このような素材特異的な乖離を説明できない。発達性表層失読症(Developmental surface dyslexia)についても、国や言語やつづり字法に関して記述されている。読字に関する音韻障害がない人たちの事例の記述が、音韻障害があらゆる発達性読字障害の背景に存在するという理論に対して正反対証拠を呈示している。ウィリアムズ症候群における読字発達のように、音韻的読字技能は、表層失読症につながるこれらの技能に過度に依存することで向上する可能性がある。表層失読症は意味記憶障害がある発達性健忘症がある場合にも報告されている。読み早熟(Hyperlexia)は、音韻読字能力の亢進を伴う広汎な発達性早熟や、語彙に関する意味的情報読解能力(lexico-semantic reading abilities)、ターナー症候群のような読解能力などの様々な形態をとる。この優位性は就学前の幼児に見られる。これらの特異的なモジュール効果は器官横を断的するような広汎な影響は与えないが、発達性障害や遺伝子障害における機能的可塑性に制限があることを示している。マーシャルが概要を示した枠組みは発達性障害の体系的研究の進展の基礎を提供した。

(2006年12月)



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