社会的行動が自閉症とウィリアムズ症候群の子供たちを識別する
Social Interaction Behaviors Discriminate Young Children With Autism and Williams Syndrome.
Lincoln AJ, Searcy YM, Jones W, Lord C.
Dr. Lincoln, Ms. Searcy, and Dr. Jones are with the Salk Institute for Biological Studies Laboratory for Cognitive Neuroscience; Dr. Lincoln is also with Alliant International University, California School of Professional Psychology-San Diego; and Dr. Lord is with University of Michigan
J Am Acad Child Adolesc Psychiatry. 2007 Mar;46(3):323-331.
目的:自閉症とウィリアムズ症候群は正反対の異常な社会的行動(前者は社会性から逃避し、後者は非常に社会的である)を特徴とする神経発達障害であるが、自閉症に特徴的な行動を呈するウィリアムズ症候群の患者も一部に存在する。我々はウィリアムズ症候群の子供たちの中にどの程度の自閉症スペクトラム障害に分離される行動が見られるかを定量的に調査した。
方法:ウィリアムズ症候群の子供20人(27ヶ月〜58ヶ月)と、年齢と知能指数を一致させた自閉症の子供26人に対して、自閉症診断観察スケジュール(Autism Diagnostic Observation Schedule:ADOS)を実施した。自閉症診断観察スケジュールで観察した行動を両グループ間で比較した。
結果:2人のウィリアムズ症候群の子供がDSM-VIの自閉症基準に当てはまった。そのうちの1人は自閉症診断観察スケジュールの診断方法でも自閉症であると判断された。自閉症診断観察スケジュールで観察した行動を判別分析したところ、身振り、外観(showing)、社会的働きかけ(social overtures)の質が両グループを最もよく分離する指標である。
結論:ウィリアムズ症候群には自閉症スペクトラム障害的な行動を呈する子供が存在することは確かであり、ごく少数は自閉症を合併することがあるが、ウィリアムズ症候群の特徴プロフィールは自閉症とは異なる。コミュニケーション行動、外観、共同注意(joint attention)には少しは障害があるものの、ウィリアムズ症候群の子供は自ら社会的働きかけを行い他者とかかわろうとする。一方で自閉症の子供にはその傾向はみられない。
(2007年2月)
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