Williams症候群児における視覚−運動協応能力の検討
森 秀都、成田 有里、黒田 舞
埼玉県立小児医療センター 保健発達部 心理
第53回 日本小児保健学会 講演集 252-253ページ(2006年10月26日〜28日)
【目的】
これまでWilliams症候群児の視覚−運動協応能力について、数多くの検討がなされてきたが、年少児に限っての検討はまだ数が少ない。今回は、精神年齢が同じ程度の児に、田中ビネー知能検査方1987年全訂版(以下田中ビネーとする)を実施した結果から、Williams症候群児の視覚−運動協応能力について検討することを目的とする。
【方法】
当センターにおいて、1999年から2004年の間に田中ビネーを実施したWilliams症候群児3名(男児2名、女児1名、平均年齢:5歳10ヶ月±16ヶ月 平均精神年齢3歳9ヵ月±1ヶ月)、対照群として、身体疾患のない精神発達遅滞児5名(男児1名、女児4名 平均年齢:5歳2ヶ月±10ヶ月 平均精神年齢3歳8ヵ月±1ヶ月)の知能指数の検査データを、カルテから抽出した。田中ビネーの結果から、視覚−運動協応能力との関連があると考えられる設問の「ご石の分類」、「トンネル作り」、「ひも通し」について検討した。「ご石の分類」と「トンネル作り」では、完成までの時間、「ひも通し」については、2分間で通せた個数を分析対象とした。
【結果】
まず、Williams症候群児(以下Williams群とする)と精神発達遅滞児(以下MR群とする)の精神年齢を分散分析によって比較したところ、2群の間に有意差は見られなかった(F(1,6)=2.5 n.s.)。
次に、「ご石の分類」を完成させるまでにかかった時間を分散分析によって比較したところ、2群の間に有意差が見られた(F(1,6)=14.1 P<.05)。平均時間は、Williams群では59.3±5.7秒、MR群では34.8±10.2秒であった。
そして、「トンネル作り」についても同様に、完成までの時間を分散分析によって比較したところ、2群の間に有意差が見られた(F(1,6)=7.7 P<.05)。平均時間は、Williams群では25.7±12.1秒、MR群では9.8±4.3秒であった。
最後に、「ひも通し」について、2分間で通せた個数を分散分析によって比較したところ、2群の間に有意差は見られなかった(F(1,6)=1.8 n.s.)。平均個数はWilliams群では7.3±1.5個、MR群では11.4±5.0個であった。
(2007年5月)
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