ウィリアムズ症候群患者の数学的能力:数学標準能力検査の結果
Mathematical skill in individuals with Williams syndrome: Evidence from a standardized mathematics battery.
O'hearn K, Landau B.
Johns Hopkins University, Baltimore, MD, USA.
Brain Cogn. 2007 May 3; [Epub ahead of print]
ウィリアムズ症候群は言語能力が比較的維持されている一方で視空間能力に著しい障害がみられる発達障害である。ウィリアムズ症候群患者は数学能力にも障害があると報告されている。我々は幅広い能力を検査できる初等数学能力検査第2版(the second edition of the Test of Early Mathematical Ability (TEMA-2))を使ってウィリアムズ症候群患者の数学能力を検査した。14人のウィリアムズ症候群患者、及びカウフマン簡易知能検査(Kaufman Brief Intelligence Test)で測定した精神年齢を一致させた対照群として14人の子どもにTEMA-2を実施した。TEMA-2の総合成績には両グループ間で差は見られない。しかし、項目ごとに分析を行ったところ、グループ間に違いが見られた。対照群に比べてウィリアムズ症候群の被験者は、どちらの数字が目標数に近いかを報告するテストの成績が悪い。この課題は頭頂葉の機能である心内数直線を利用することが必要だと考えられていて、これまで報告されているウィリアムズ症候群患者には頭頂葉に異常がみられるという報告と一致している。これとは反対に、対照群に比べてウィリアムズ症候群の被験者は数字読みが優れてりたが、これはウィリアムズ症候群における言語的数学能力が対照群と比較して良いことを示唆している。これらの知見は、数学的知識を司るコンポーネントは発達障害の種類によって異なった影響を受けているという新たな証拠である。
(2007年5月)
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