ウィリアムズ症候群とダウン症候群の超社会性に関する神経心理学的基盤



The neuropsychological basis of hypersociability in Williams and Down syndrome.

Porter MA, Coltheart M, Langdon R.
Macquarie Centre for Cognitive Science, Macquarie University, NSW 2109, Australia.
Neuropsychologia. 2007 May 21; [Epub ahead of print]

ウィリアムズ症候群の人々は日常生活の中で見知らぬ人に無差別に近づいていく行動をみせる。この行動はダウン症候群の人にもみられるが、程度は少ない。不適切な接近行動は後天的に扁桃体に障害を負った人や後天的な前頭葉機能障害の人にもみられる。このことから、ウィリアムズ症候群やおそらくダウン症候群にもみられる社会的接近行動に関する発達障害は、感情認識が不調であることに起因する(扁桃体の機能障害に起因する)のか、行動の制御が不調であることに起因する(前頭葉の異常に起因する)という仮説が考えられる。この社会認知兆発達障害に関して考えられる3番目の理由は、社会的刺激に対する亢進した特徴という観点から説明できる。これら3つの仮説を検証するために、ウィリアムズ症候群とダウン症候群の人たちの感情認知、社会的接近行動、前頭葉機能を調べた。調査の結果を全般的にみれば、扁桃体や社会的刺激特徴の仮説とは整合性がなかった。それに比較して神経心理学的検査の結果から、ウィリアムズ症候群やダウン症候群の人々が日常生活でみせる見知らぬ人への接近行動は前頭葉の機能障害、特に反応抑制がうまくできないという事象によってもっともよく説明ができた。

(2007年7月)



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