Williams 症候群の模写障害 −角の誤形成−



日本認知心理学会
第6 回大会プログラム(2008/ 5/31, 6/1)
JST ERATO 浅田プロジェクト 永井 知代子、乾 敏郎
京都大学大学院情報学研究科
東京女子医科大学神経内科 岩田 誠

Williams 症候群は視空間認知障害が著しい発達障害として知られ,図形のトレースは可能だが模写が不良で特に角の誤形成が特徴だとされる(永井2001)。この原因を探るため,正四角形・菱形・正五角形・正六角形・凹を含む多角形を見本図形として, (1)1ストロークずつ見本図形を呈示して横に逐次模写 (2)見本図形を0.5, 2, 5s 間呈示してトレース (3)見本図形と描画空間の奥行き距離を0(=トレース),5(トレースも模写も可能),10(=模写)cm に変えて模写する課題を施行した。その結果,(1)からは角を多く含む図形ほど描画後半に誤りが多く,(2)からは呈示時間によらず再生できる図形の角の数は3-4 個と限られることが示され,visual indexing 障害の表れと考えられた。また(3)からは距離5cm の条件下では見本図形(対象)に依存せずに自己運動に依存する傾向がみられ,対象中心より自己中心座標に依存する傾向が示唆された。以上の特徴が角の誤形成の原因をなしていると考えられた。

(2008年6月)



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