ウィリアムズ症候群における視覚探索注意
[Visual search attention in children with Williams syndrome]
[Article in Chinese]
Xie CH, Shao J, Qin YF, Yang JB, Wang YX, Li R, Zhao ZY.
Department of Pediatric Cardiology, Children's Hospital of Zhejiang University School of Medicine(浙江大学医学部付属子供病院), Hangzhou 310003, China.
Zhonghua Yi Xue Za Zhi. 2008 Mar 11;88(10):679-83.
目的:ウィリアムズ症候群の視覚探索注意に関する特徴を調査する。
方法:ウィリアムズ症候群患者22人、内訳は男児13人・女児9人、年齢12歳(6-16)、暦年齢と精神年齢を一致させたダウン症候群の25人、生物学的年齢(biological age)を一致させた子供45人、精神年齢を一致させた子供43人、年齢は4歳+/- 2 (2-8)に対してPeabody picture vocabulary test (PPVT:ピーボディー大学式理解力検査)を実施した。同時に、注意の選択・切換・維持を含む視覚探索注意を、タッチスクリーンを利用したコンピュータによる一連の視覚探索課題を用いて検査した。
結果:
- よく似た正解以外の選択肢を提示しない単独目標選択課題の場合、ウィリアムズ症候群患者の正確な反応率は71% +/- 25%で、暦年齢を一致させた対照群より有意に低い(87% +/- 14%, P = 0. 001)。ウィリアムズ症候群の子どもの平均探索時間は5秒で、暦年齢を一致させた対照群より有意に長い(3秒, P = 0. 000)。ウィリアムズ症候群患者の場合、接触点との距離は25相対単位であり、暦年齢を一致させた対照群より有意に長い(0, P = 0. 000)。ウィリアムズ症候群の子どもの反応時間は5秒で、ダウン症候群より有意に長い(3秒, P = 0. 0022)。ウィリアムズ症候群の子どもの形状誤認識率は15%で、暦年齢を一致させた対照群より高い(0%, P = 0. 000)。目標に類似した選択肢を加えた場合、ウィリアムズ症候群患者の正確な反応率は39% +/- 20%で、暦年齢および精神年齢を一致させた対照群より有意に低い(それぞれ77% +/- 23% と 66% +/- 23%, 両方ともP = 0. 000)。ウィリアムズ症候群の子どもの平均探索時間は13秒で、暦年齢および精神年齢を一致させた対照群より有意に長い(それぞれ3秒と5秒, 両方ともP = 0. 000)。ウィリアムズ症候群患者の場合、接触点との距離は41相対単位であり、暦年齢および精神年齢を一致させた対照群より有意に長い(それぞれ20相対単位と27相対単位, P = 0. 000 と P = 0.004)。
- 目標が2つある課題の結果、ウィリアムズ症候群患者の正確な反応率は52% +/- 28%で、暦年齢を一致させた対照群より有意に低い(78% +/- 22%, P = 0. 000)。ウィリアムズ症候群の子どもの探索時間は11秒で、暦年齢を一致させた対照群より有意に長い(4秒, P = 0. 000)。ウィリアムズ症候群患者の場合、接触点との距離は54 +/- 27相対単位であり、暦年齢を一致させた対照群より有意に長い(31 +/- 13相対単位, P = 0. 000)。しかし、正確な反応率・平均探索時間・接触点との距離に関してはウィリアムズ症候群とダウン症候群との有意な差はない。ウィリアムズ症候群の切換エラー率は13%で、暦年齢および精神年齢を一致させた対照群より有意に高い(それぞれ0% と 4%, P = 0. 000 と P = 0.004)。
- 覚醒課題テスト(The vigilance task test)では、ウィリアムズ症候群の正確な反応率は52% +/- 25%で、暦年齢を一致させた対照群より有意に低い(80% +/- 21%, P = 0. 000)。ウィリアムズ症候群の子どもの平均探索時間は4秒+/-1秒で、暦年齢を一致させた対照群より有意に長い(3秒+/-1秒, P = 0. 000)。ウィリアムズ症候群の誤ヒット数は8で、暦年齢を一致させた対照群より有意に多い(3, P = 0. 000)。しかし、正確な反応率・平均探索時間・誤ヒット数に関してはウィリアムズ症候群とダウン症候群との有意な差はない。
結論:ウィリアムズ症候群の子どもには特徴的な視覚探索障害が存在する。
(2008年8月)
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