ウィリアムズ症候群の人におけるワーキングメモリー障害:遅延、課題、刺激の効果



Working memory impairment in people with Williams syndrome: Effects of delay, task and stimuli.

O'Hearn K, Courtney S, Street W, Landau B.
Department of Psychiatry, University of Pittsburgh Medical Center, Laboratory of Neurocognitive Development, 112 Loeffler Building, 121 Meyran Avenue, Pittsburgh, PA 15213, USA.
Brain Cogn. 2008 Dec 10. [Epub ahead of print]

ウィリアムズ症候群は神経発達障害であり、背側経路の寄与により視空間表象には障害がある一方、腹側経路の寄与により物体認識能力は比較的高く維持されている。ウィリアムズ症候群におけるこの不均等なパターンをワーキングメモリーにまで拡張するに関しては矛盾する事実が存在する。本研究では、ウィリアムズ症候群の子ども、及び精神年齢を一致させた正常に発達した子どもに対して、遅延認知系列を利用した単一刺激によるワーキングメモリー検査を行うことで、新たな展望を提供する。3種類の実験を通して、被験者は2番目の刺激が最初の例示と場所あるいは恒等性が一致するかとどうかを判断する。最初に遅延時間5秒(実験1)と遅延時間2秒(実験2)で顔・家・位置の記憶テストを行った。次に頭髪の生え際や顔の向きなどの表現を正しく統制した新たな刺激を用いた遅延時間2秒の条件で、人の顔、家、猫の顔、靴に関する記憶テスト(実験3)を行った。遅延時間5秒(実験1)の場合、ウィリアムズ症候群のグループは精神年齢を一致させた対照群に比べて全体的に障害がみられた。ウィリアムズ症候群の被験者は精神年齢を一致させた対照群に比べて遅延時間2秒のほうが成績が低い傾向がある一方で、精神年齢を一致させた対照群に比べて不均等なパターンを示す。顔認識において、友好的な顔の場合は(実験2)ウィリアムズ症候群の患者は比較的良い成績を示すが、無表情な顔の場合はそうでもなく、普通の表情の場合は成績が悪い(実験3)。実験3は、ウィリアムズ症候群において、場所の記憶よりも物体の恒等性の記憶のほうが優れていることを示した。これらの知見はウィリアムズ症候群においてはワーキングメモリーが全体的に障害されているが、それも特定の条件下では克服できることを明らかにした。ウィリアムズ症候群における頭頂葉や背側経路の異常が空間的位置表象だけではなく、視覚刺激に関するワーキングメモリーにももっと普遍的な悪影響を与えている可能性がある。

(2008年12月)



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