ウィリアムズ症候群の子どもにおける行動表現型と関連する脳の構造相違
Brain structural differences associated with the behavioural phenotype in children with Williams syndrome.
Campbell LE, Daly E, Toal F, Stevens A, Azuma R, Karmiloff-Smith A, Murphy DG, Murphy KC.
King's College London, Institute of Psychiatry, UK; The University of Newcastle, Australia.
Brain Res. 2008 Dec 11. [Epub ahead of print]
背景:我々はウィリアムズ症候群の知的障害を呈する子どもの脳構造の形態と行動表現型との関連を調査した。
方法:ウィリアムズ症候群の子ども15人(平均年齢13+/-2)の神経解剖学的所見を年齢と性別を一致させた健康な子どもと比較した。対照はマニュアルによる関心領域の分析による全体脳容量(白質と灰白質)測定と、脳全体にわたって灰白質/白質の変動を不偏全自動ボクセルベースによる形態計測である。行動異常の評点を脳の異常と関連付けた。
結果:対照群と比較して、ウィリアムズ症候群の子どもの脳は右頭頂-後頭部分と大脳基底核の容積が減少している。我々は頭頂-後頭部分左及び左被殻・淡蒼球・視床の灰白質、大脳基底核と右後部帯状回の白質が減少していることを突き止めた。対照的に、灰白質は増加が前頭葉・前部帯状回・左側頭葉でみとめられ、白質の増加が両側の前帯状回でみられた。ウィリアムズ症候群における不注意は前頭葉・尾状核・小脳の容積差異と関連し、多動性は側頭葉・頭頂葉・小脳の容積差異と関連している。最後に、同年齢の子どもとの間の問題(peer problems)評点は側頭葉・大脳基底核・前頭葉の容積差異と関連していた。
結論:ウィリアムズ症候群の知的障害を持つ子どもに対して、ボクセルベースの形態計測を使って脳構造の研究を行った初めての研究において、このグループは白質と灰白質の形態に差異がある可能性が判明した。加えて、構造面の差異がウィリアムズ症候群の子どもの不注意・多動・同年齢の子どもとの間の問題の評点と関連することを発見した。
(2009年1月)
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