ウィリアムズ症候群の視覚認知機能



中村 みほ
愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所
認知神経科学 Vol.11, No.1, Page48-53 (2009.03)

ウィリアムズ症候群はエラスチン遺伝子を含む7q11.23部分に欠失をもつ。表出言語が比較的流暢であり音楽が得意である反面,視覚認知機能,中でも視空間認知の障害が強いことなどが様々に検討されている。病態解明を目指して実施した心理学的,神経生理学的検討を行った。ウィリアムズ症候群における認知機能の第1の特徴として認知の分野ごとのギャップが大きいことが挙げられる。言語の話し始めは定型発達者よりも遅れることが多い。音楽については,優れた能力を示し演奏活動に従事する者もいる。必ずしも秀でた才能を示す者ばかりではないが,押しなべて音楽を好み,得意である者が多い。視覚認知の領域内においても能力のギャップが顕著であり,物の形,顔などの視覚認知の腹側経路の機能に比して,運動視,位置,3次元知覚に関わる背側経路の機能がより障害されている。

(2009年6月)


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