ウィリアムズ症候群における視空間認知能力の発達と漢字模写



Development of visuospatial ability and kanji copying in williams syndrome.

中村みほ, Mizuno S, Douyuu S, 松本 昭子, Kumagai T, 渡邊 昌子, 柿木隆介
Department of Functioning Science of the Institute for Developmental Research,Aichi Human Service Center, Kasugai, Aichi, Japan. mihon@inst-hsc.jp
Pediatr Neurol. 2009 Aug;41(2):95-100.

ウィリアムズ症候群は不均等な認知能力があることが知られている。物体を構成できないというような視空間認知障害が特徴であり、日本語の表意文字である漢字の模写にも影響を及ぼしている可能性がある。これまで主として横断的な行なわれた先行研究とは対照的に、本研究はこの徴候の発達面に焦点を当て、そのメカニズムをよりよい観点を得ることを目的とした。視空間認知能力の発達変化(二次元図形、三次元図形、および漢字の模写を含む)を、4歳から11歳の4人のウィリアムズ症候群男児について、6年から9年間長期観察を行なった。ベントン(Benton)の三次元ブロック構築課題とヤーキーズ(Yerkes)課題を実施した。結果のうちのいくつかは精神年齢を一致した子供の対照群と比較した。観察結果から、ウィリアムズ症候群の被験者においては、二次元図形および漢字の模写能力は発達していた。しかし、三次元図形の模写、とくに透視には問題が残ったままの傾向が見られた。視覚的映像手がかりから三次元情報を得ることは、学習の最終段階にいたった時期でもウィリアムズ症候群被験者には難しいように見える。この困難さはウィリアムズ症候群の根源的な機能障害と関連している可能性がある。

(2009年7月)



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