あなたを見つめる:ウィリアムズ症候群における対面覚醒と視線回避
Stuck on you: Face-to-face arousal and gaze aversion in Williams syndrome.
Doherty-Sneddon G, Riby DM, Calderwood L, Ainsworth L.
Department of Psychology, Stirling University, Stirling.
Cogn Neuropsychiatry. 2009 Sep 7:1-14. [Epub ahead of print]
はじめに:
対面質問を行う際、正常に発達した子どもや成人は、考えている最中に質問者から逃れるために視線回避(gaze aversion (GA))を行う。視線回避は質問の難易度とともに増加し、反応の正解率も向上する。我々は、超社会性があり不自然に顔を見つめる傾向があるウィリアムズ症候群の患者においても、認知負荷を制御するために視線回避を利用するどうか、そして顔を見つめることで生理学的覚醒が起こるかどうかを調査した。
方法:
以下に述べる2種類の実験を行った。
- 困難な課題を行っているときおよび視線の方向と関連した被験者の皮膚表面の電気抵抗の変化を記録した。
- 困難さを変えた質問に答える際に、実験者の顔から視線をはずす視線回避の量を計算した。
結果:
実験1においては、ウィリアムズ症候群被験者は覚醒不全であることが判明した。また、対面覚醒はウィリアムズ症候群でも正常に発達した被験者にも観られた。実験2においては、ウィリアムズ症候群の被験者は、課題の要求事項が高度になると顔を見つめる時間が長くなった。しかし、課題が難しくなると視線回避の増加につながった。
結論:
顔を見つめることはウィリアムズ症候群の人にとっても厳しいことである。生理学的覚醒レベルの減少は、ウィリアムズ症候群の人にとって顔を見つめる時間を長くできる可能性があるが、一方で顔を見ることは基礎的覚醒レベルを上昇させる。この結果をウィリアムズ症候群の人々にとって最適な社会的技能の訓練や教育方法の観点から考察した。
(2009年9月)
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