ウィリアムズ症候群の就学前児童の社会的アプローチ:顔の役割
Social approach in pre-school children with Williams syndrome: the role of the face.
Dodd HF, Porter MA, Peters GL, Rapee RM.
Macquarie Centre for Cognitive Science, Macquarie University, Marsfield, NSW, Australia.
J Intellect Disabil Res. 2010 Jan 12. [Epub ahead of print]
背景:
無差別に社会的アプローチを行う行動はウィリアムズ症候群の行動的表現型でも目立った側面である。本研究はウィリアムズ症候群の就学前児童のアプローチ行動を調査し、ウィリアムズ症候群の社会的アプローチ行動における顔の役割を評価する。
手法:
10人のウィリアムズ症候群の就学前児童(3歳から6歳)、正常に発達した子供でウィリアムズ症候群グループと精神年齢あるいは暦年齢を一致させた2つのグループに対して、プレイセッションを実施して観察を行った。非社会的および社会的要素を組み入れたプレイセッションは見知らぬ人に対するアプローチ行動を評価するための2種類の要素から構成される。ひとつは見知らぬ人の顔が見えるケースであり、もうひとつは顔が覆われていて見えないケースである。
結果:
プレイセッションの非社会的側面における反応では、ウィリアムズ症候群のグループは2つの対照群と同じ行動を示した。対照的に、ウィリアムズ症候群の就学前児童は両対照群と比較して見知らぬ人と関係を持とうという意思が顕著に高い。この傾向は見知らぬ人の顔が見えないケースでも同様である。
結論:
この知見はウィリアムズ症候群の患者においては顔に対する尋常ではない興味が社会的アプローチ行動の動因になっているという仮説の正当性を疑う内容である。
(2010年1月)
目次に戻る