Williams症候群と22番染色体欠失症候群の描画能力比較
永井知代子1)、岩田 誠2)、松岡瑠美子3,4)
1)科学技術振興機構ERATO浅田共創知能システムプロジェクト、2)東京女子医科大学神経内科、3)IREIIMS、4)東京女子医科大学循環器小児科
最終年度 IREIIMS公開シンポジウム 抄録集 57ページ(2010年2月)
【はじめに】
Williams症候群(WS)は、7番染色体11.23領域の半接合体欠失により、著明な視空間認知障害をきたすことで知られるが、近年22番染色体欠失症候群(22qDS)もWSと同様の認知プロフィールを呈するとの報告がある。
【目時】
WSと22qDSの視空間認知機能を、描画能力の点から比較する。
【方法】
被験者はWS 9人(15.7±7.0歳;IQ 44.9±4.6)と22qDS 6人(17.3±10.3歳;IQ 50.7±7.5)。
1) Bender Gestalt Test
2) 平行四辺形・五角形・六角形のトレース・模写・即時再生
3) Frostig視知覚発達検査の空間関係課題の成績
を比較した。
【結果】
1) WS 9.4±4.5、22qDS 2.6±2.7で、WSが有意に不良であった。(p<.01)。
2) 図形別:平行四辺形以外(五角形、p<.05;六角形、p<.01)でWSが有意に低成績であった。
課題別:トレース以外(模写、p<.05;即時再生、p<.01)でWSが有意に低成績であった。エラー分析では、WSは五角形・六角形とも模写・即時再生の両方で辺の長さ・角度・角数のエラーが均等に見られたが、22qDSの模写では角数のエラーがみられなかった。
3) 正解率はWS 0.56±0.5、22qDS 0.81±0.4で、WSが有意に成績不良であった(p<.01)。中でも構成すべき角数が増える図版の成績差が最も大きかった。
【結論】
WSは22qDSに比べ明らかに描画が不良で、特に図形の角を正確に形成する能力に明らかな違いがある。
(2010年4月)
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