ウィリアムズ症候群とダウン症候群の年少児における指差しや注視などの身振りに含まれたコミュニケーション意図に対する理解
Comprehension of the Communicative Intent Behind Pointing and Gazing Gestures by Young Children with Williams Syndrome or Down Syndrome.
John AE, Mervis CB.
University of Louisville.
J Speech Lang Hear Res. 2010 Jul 6.
目的:
ウィリアムズ症候群とダウン症候群の就学前の年少児に対して、身振り(指差しや注視視線の移動)によって表現されたコミュニケーション意図を推測する能力を調べた。
方法:
被験者は探し物ゲーム(hiding game)の場において指差しや注視視線の移動を含むコミュニケーション的手がかりと非コミュニケーション的手がかりの両方を与えられる。各個人はコミュニケーション形式(コミュニケーション的 対 非コミュニケーション的)と身振り(指差し 対 注視視線の移動)の4つの組み合わせによる4条件を与えられる。
結果:
グループで見た場合、どちらのグループの子どもも、コミュニケーション的条件の場合は偶然レベルより有意に高い確率で玩具を見つけられたが、非コミュニケーション的条件の場合は偶然レベルの成績であった。どちらのグループの子どもも、注視視線の移動に比べて指差しを用いた場合のほうがコミュニケーション意図を推測しやすい。個別に見た場合、DQや言語標準検査の成績にはほとんど無関係に、ダウン症候群のほうがウィリアムズ症候群に比べて実験者のコミュニケーション的身振りを理解できる子どもの数が有意に多かった。
結果:
グループで見た場合、ウィリアムズ症候群とダウン症候群の就学前の年少児はテーブル上の課題としては指差しや注視視線の移動によって表現されたコミュニケーション意図を理解することが出来る。ダウン症候群の子どものほうがウィリアムズ症候群の子どもに比べて実用的な能力が有意に高いという証拠が得られた。これは、ウィリアムズ症候群の子どもは暦年齢や認知/言語能力から期待される社会的コミュニケーションにより大きな問題を抱えていることを示している
(2010年7月)
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