微少欠失症候群に共通する脳室周囲異所性灰白質症
Periventricular heterotopia in common microdeletion syndromes.
van Kogelenberg M, Ghedia S, McGillivray G, Bruno D, Leventer R, Macdermot K, Nelson J, Nagarajan L, Veltman JA, de Brouwer AP, McKinlay Gardner RJ, Van Bokhoven H, Kirk EP, Robertson SP.
Department of Paediatrics and Child Health, Dunedin School of Medicine, Otago University, Dunedin, New Zealand.
Mol Syndromol. 2010 Feb;1(1):35-41. Epub 2010 Jan 8.
脳室周囲異所性灰白質症は脳室の周囲壁を覆う異所性灰白質神経結節を特徴とする脳の形成異常である。患者の20-24%はFLNAの突然変異を原因とするが、大多数はその遺伝子的病因は不明である。染色体異常に伴う脳室周囲異所性灰白質症の存在は、脳室周囲異所性灰白質症のメンデル遺伝をつかさどる新たな遺伝子座の存在を示唆する。本研究は3種類の異なる微少欠失症候群を有する脳室周囲異所性灰白質症患者4人に関する報告で、各症候群は高精度遺伝子マイクロアレイ法で分析を行なった。患者3人においては、1q36と22q11部位の欠失は通常の大きさであるが、4番目の患者の場合、ウィリアムズ症候群でみられる典型的な7q11.23部位の欠失よちも範囲が大きい。染色体欠失を伴う脳室周囲異所性灰白質症の一部の患者の存在は、劣性遺伝対立遺伝子の存在を明らかにしたり、より多くの無症候性転移異常の存在を示す元になる可能性がある一方で、この3つの微少欠失症候群においては脳室周囲異所性灰白質症の発生が珍しいことと、その他の非反復性染色体異常の記述から、脳室周囲異所性灰白質症は複数の異なる染色体不均衡が合わさって引き起こされる症状である可能性が示唆される。全てではないが多くの患者において、染色体欠失に合併する脳室周囲異所性灰白質症は、必ずしも特定の神経遊走異常を司る特定の一遺伝子座の影響ではない。
(2010年8月)
目次に戻る