ウィリアムズ症候群では顔処理関連脳機能部野が肥大している



The fusiform face area is enlarged in Williams syndrome.

Golarai G, Hong S, Haas BW, Galaburda AM, Mills DL, Bellugi U, Grill-Spector K, Reiss AL.
Department of Psychology, Stanford University, Stanford, California 94305, USA.
J Neurosci. 2010 May 12;30(19):6700-12.

ウィリアムズ症候群は遺伝子疾患であり、非典型的な脳構造、認知障害、一生にわたって顔貌にひきつけられることなどを特徴とする。ウィリアムズ症候群においては、紡錘回や腹側視覚経路における顔処理や構造的な変異があるにもかかわらず顔認知機能が比較的維持されている。このように、ウィリアムズ症候群の顔認知は腹側経路の異常な神経基質に依存している可能性がある。この仮説を検証するために、機能的MRIを使って顔処理関連脳機能部野(fusiform face area (FFA))の検査を行なった。この部野は正常に発達した人においては顔任認知に関係していることが判明しているが、ウィリアムズ症候群においてはよくわかっていない。検査の結果、ウィリアムズ症候群の顔処理関連脳機能部野は正常な被験者の2倍の大きさ(絶対量としても、紡錘回との相対比較においても)があるが、ボストン顔認知検査(Benton face recognition test)における顔認知成績も正常範囲であった。このように、大きな顔処理関連脳機能部野はウィリアムズ症候群において顔認知の成熟になんらかの役割を果たしている可能性がある。

(2010年8月)



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