遺伝子的に分割された作業記憶領域:
ダウン症候群とウィリアムズ症候群がもたらした証拠



Genetically dissociated components of working memory:
evidence from Down's and Williams syndrome.

Jarrold C, Baddeley AD, Hewes AK
Centre for the Study of Memory and Learning, Department of Experimental Psychology,
University of Bristol, UK. c.jarrold@bristol.ac.uk
Neuropsychologia 1999 Jun;37(6):637-51

ワン(Wang)とベルージ(Bellugi) [J clin exp Neuropsychol 1994;16:317 22]は、ダウン 症候群とウィリアムズ症候群は特定の対照的な作業記憶(working memory)障害を併せ持っ ている可能性があるという仮説を提示した。すなわち、ダウン症候群では言語作業記憶の 障害であり、ウィリアムズ症候群では視空間作業記憶の障害である。我々は2つの実験に よってこれらの障害が単に各症候群に関連する学習障害の一般的なパターンに起因してい るかどうかを調査する。実験1では、精神年齢の違いを共分散分析で調整しながら、2つ のグループにおける言語短期記憶能力と視空間短期記憶能力(visuo-spatial short-term memory ability)を比較した。実験2では、ウィリアムズ症候群の人と、非言語精神年齢の 一致する対照群について短期記憶能力を比較した。両実験の結果とも、ワンとベルージの 報告と幅広く一致しており、作業記憶は別々のサブシステムに分離されているという認識 を支持している。

(1999年7月)

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