ウィリアムズ症候群における親近性と想起



Familiarity and recollection in Williams syndrome.

Costanzo F, Vicari S, Carlesimo GA.
Department of Neuroscience, IRCCS Children's Hospital Bambino Gesu, Rome, Italy.
Cortex. 2011 Jun 22. [Epub ahead of print]

記銘された記憶への異なる2種類のアクセス方法、すなわち想起と親近性(recollection and familiarity)を区分するための宣言的記憶課題の成績に対する要素分析結果に興味を示した。発達的観点では、親近性に比べて想起のほうが後から発達し発達上の差異も大きいという仮説が提示されている。それにもかかわらず、想起と親近性が知的障害者の認知機能にどのような影響を与えるかについてはほとんど調査されていない。本研究はウィリアムズ症候群の患者グループの宣言的長期記憶の定性的プロフィールを調査することを目的としている。ウィリアムズ症候群患者13人と精神年齢を一致させた正常な発達状態にある子ども13人を対照群として、認知機能に足する想起と親近性の影響を徴するべく2種類の異なる実験的パラダイムにおいおて比較した。我々は知的障害者に適した2種類の手法、すなわちプロセス解離方式(process dissociation procedure)と課題解離方式(task dissociation procedure)の改訂版を採用した。両方の実験パラダイムにおいて、ウィリアムズ症候群被験者の宣言的記憶能力は想起が減少し、親近性は維持されていた。この結果は神経発達障害において想起と親近性の間に解離があることの直接的な証拠であり、知的障害者の異常な認知機能を説明するための新たなアプローチとの関連を議論する。

(2011年7月)



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