ウィリアムズ症候群において音楽経験が言語記憶に与える影響:新規単語学習課題からの証拠



Effect of musical experience on verbal memory in Williams syndrome: Evidence from a novel word learning task.

Martens MA, Jungers MK, Steele AL.
The Ohio State University at Newark, 1179 University Dr., Newark, OH 43055, USA;
Nisonger Center, The Ohio State University, 258 McCampbell Hall, 1581 Dodd Dr.,Columbus, OH 43210, USA.
Neuropsychologia. 2011 Jul 22. [Epub ahead of print]

ウィリアムズ症候群は神経発達疾患であり、音楽に対する親和性の増加、言語記憶の障害、脳の異形発達などを特徴とする。音楽は正常な発達をしている人と同様に学習障害者の言語記憶能力を改善することが示されているが、ウィリアムズ症候群において両者に関連があるかどうか検査は行われていない。我々が行った2種類の研究の目的は、ウィリアムズ症候群患者において音楽が言語記憶を強化するかどうかを確認することである。研究1では、発話あるいは歌で表現された8種類の文章(動物の特徴とその種名を表現)による記憶課題を38人のウィリアムズ症候群患者に与えた。研究2では、別のウィリアムズ症候群患者(n=38)に対して発話あるいは歌で表現された6種類の文章(動物の種名を表現)を与えた。両研究とも、正式な音楽レッスンの参加者は、発話された文章よりも歌われた文章のほうが言語記憶課題の成績が有意に良い。正式な音楽レッスンを経験していない被験者の場合はこのような効果はみられない。それと同時に音楽に対する喜びの増加や音楽に対する感情反応の高揚は記憶課題の成績には影響を与えないことも確認した。この説得力がある発見は、音楽経験がウィリアムズ症候群患者の言語記憶を改善する可能性があることの最初の証拠であり、この特異な疾患において認知機能側面と異常な神経発達との複雑な関係を明らかにする。

(2011年8月)



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