ある遺伝子症候群の超社交性の神経学的基礎探索に向けて



Towards the neural basis for hypersociability in a genetic syndrome.

Bellugi U, Adolphs R, Cassady C, Chiles M
Laboratory for Cognitive Neuroscience, The Salk Institute for Biological Studies, La Jolla, CA 92037, USA.
Neuroreport1999 Jun 3;10(8):1653-7

ウィリアムズ症候群は、発生数の少ない疾患で医学的・心理学的・神経生理学的・神経解 剖学的に特徴あるプロフィールを持っている。およそ20個の遺伝子が片方欠失している ことが原因である。高次の認知機能に特定の解離がある表現型を示す。認知能力は全般的 に障害があるが言語能力は比較的維持されている、空間認知能力はかなり劣っているが、 顔の識別能力は損なわれていない。特に興味を集めているのはウィリアムズ症候群が持つ 普通ではない社会的表現型(unusual social phenotype)である。初めて取り組んだウィリア ムズ症候群の社会的行動に関する探索的研究において、ウィリアムズ症候群の被験者が未 知の人に対する社会的判断において異常に好意的なバイアスを示すことが見出された。こ れは彼らの実社会における行動と一致している。我々の発見は、人間の社会的行動に関す る神経学的・遺伝学的の基礎を理解する一助となる。

(1999年10月)

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