ウィリアムズ症候群の子どもにおける視覚援助による段差降下



Visually guided step descent in children with Williams syndrome.

Cowie D, Braddick O, Atkinson J.
Department of Psychology, Goldsmiths, University of London, UK ?Department of Experimental Psychology, Oxford University, UK ?UCL Division of Psychology and Language Sciences, University College London, UK.
Dev Sci. 2012 Jan;15(1):74-86. doi: Epub 2011 Nov 2.

ウィリアムズ症候群患者は頭頂葉や小脳の異常を反映して視空間課題や手の視覚運動制御に障害がある。本稿では、ウィリアムズ症候群患者が視覚援助による体全体を使った動きに困難があるかどうかを調査した。ウィリアムズ症候群の子ども(5-16歳)が高低差のある段差を目視によって降りる動作を検査するため、一段の段差を降りる様子を運動学的に記録した。試行毎に段の高さを予測できないように変化させているので、段差高や足をつく前にその位置を正しく知るためには視覚情報が必用になる。運動学的記録によれば、ウィリアムズ症候群の子どもは視覚情報を利用しないために段差を降りる際の足の適切な位置を決めることに時間がかかる。このパターンは正常に発達した3歳から4歳の子どもでは観察されておらず、ウィリアムズ症候群における体全体を使った視覚運動制御に重篤な障害があることを示唆している。ウィリアムズ症候群の子どもにおいて、この成績は視力の低さあるいはバランスの悪さからは有意には予想できないが、言葉がでるようになると有意に改善する。この結果はウィリアムズ症候群の全身運動制御の可塑性と発達を示唆している。本データはウィリアムズ症候群における視空間および視覚運動しゅお外は歩行運動領域にも広がっていることを示す。ウィリアムズ症候群の頭頂葉や小脳の異常を考慮に入れると、この結果は視覚制御および全身運動回路に関連する神経回路の役割についての新たな証拠を提供している。

(2012年1月)



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