典型的および非典型的発達における顔を見ることによる干渉



資料番号2-9-252「自閉症スペクトラム障害とウィリアムズ症候群における視線回避と認知負荷対応戦略」と同じテーマの研究です。

(2012年2月)


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Face-to-face interference in typical and atypical development.

Riby DM, Doherty-Sneddon G, Whittle L.
School of Psychology, Newcastle University, UK ?School of Life Sciences, Northumbria University, UK ?Department of Psychology, Stirling University, UK.
Dev Sci. 2012 Mar;15(2):281-91.

視覚的手がかりは個人間のコミュニケーションを促進する。顔を見て手がかりを入手し、引き続いてそれを処理することが重要である。また認知負荷を高めてオンライン処理の干渉を引き起こすことから、時々顔から視線をそらすことも大切である。実際に、正常に発達した人は顔を見続けると課題遂行に支障をきたす。本研究は、ウィリアムズ症候群とダウン症候群の患者に対して顔を見ることによる干渉を定量的に調査した初めての研究である。これらの症候群は発達障害であり、認知や社会的注意に影響を及ぼしているが、顔を見ることって認知処理にどのような干渉が存在するか? 正常に発達した人とともに、ダウン症候群(19人)とウィリアムズ症候群(16人)に対して、算数の課題を含む質問と回答のセッションを行い記録した。フェーズ1では注視は求められないが、フェーズ2ではセッションの間中被験者は実験者から視線を外さないことを求められる。正常に発達した被験者は、顔の注視を行うことで回答の正答率が低下する。同様にウィリアムズ症候群やダウン症候群でも同じパターンが見られ、被験者が顔を見続けることを求められた場合に課題の成績は低下した。この結果から全てのグループにおいて顔を見続けることが課題遂行に干渉することを示している。この発見からウィリアムズ症候群やダウン症候群患者は正常に発達した人に比べて相互作用を行う間、アイコンタクトを持続することが困難であると警告することが必要である。ダウン症候群の患者はどの時点においてもアイコンタクトを持続することが難しいが、ウィリアムズ症候群の患者は特に難しい課題に取り組むときだけに困難がある。



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