脆弱X症候群とウィリアムズ症候群の機構理解を通じた神経発達疾患の概念化
Conceptualizing neurodevelopmental disorders through a mechanistic understanding of fragile X syndrome and Williams syndrome.
Fung LK, Quintin EM, Haas BW, Reiss AL.
Center for Interdisciplinary Brain Sciences Research, Department of Psychiatry and Behavioral Sciences, Stanford University School of Medicine, Stanford, California, USA.
Curr Opin Neurol. 2012 Apr;25(2):112-24.
概説の目的:
本概説の包括的なゴールは脆弱X症候群とウィリアムズ症候群の認知−行動特徴を比較して対比することと、これらの特徴の土台となる神経的および分子生物学的推定を概説することである。神経発達疾患における遺伝子−脳−行動の関連を概念化するための原則を提供するフレームワークとして情報を提供する。
最新の発見:
異常、特に基盤となる神経発達相関が似ている認知−行動領域において脆弱X症候群とウィリアムズ症候群の両方に発生するものには、実行機能の障害につながる異常な前頭線条体経路、視空間機能の障害につながる大細胞/背側視覚経路、上頭頂葉、下頭頂葉、中心後回の異常が含まれる。両症候群の間には認知−行動面や神経発達面の明らかな対比も存在する。たとえば、社会行動的表現型の対比という観点における扁桃体や紡錘状皮質構造や機能の異常や、言語機能の差異の基盤をなしていると推測される側頭皮質や小脳の異常である。異常な樹状突起の発達が脆弱X症候群とウィリアムズ症候群で共通する神経発達形態特徴である。脆弱X症候群とウィリアムズ症候群に共通する分子機構とプロセスも同時に存在する。主要なシナプスタンパク質の翻訳調節に関与するマイクロRNA、興奮性シナプスの裏打ちタンパク質、軸索発達に関与するタンパク質である。
概要:
脆弱X症候群とウィリアムズ症候群につながる遺伝子変異は異なっているが、両症候群の表現型、神経回路、分子機構、細胞プロセスに存在する共通性と対比性は、神経発達疾患で発生する遺伝子−脳−行動の関連を概念化するためのユニークなアプローチを提供する。
(2012年3月)
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