ウィリアムズ症候群患者の自閉症性障害:ウィリアムズ症候群表現型の再考
Autistic disorder in patients with williams-beuren syndrome: a reconsideration of the williams-beuren syndrome phenotype.
Tordjman S, Anderson GM, Botbol M, Toutain A, Sarda P, Carlier M, Saugier-Veber P, Baumann C, Cohen D, Lagneaux C, Tabet AC, Verloes A.
Department of Child and Adolescent Psychiatry, Guillaume Regnier Hospital, University of Rennes 1, Rennes, France.
PLoS One. 2012;7(3):e30778. Epub 2012 Mar 6.
背景:
ウィリアムズ症候群は7q11.23領域の遺伝子連続欠失を原因とする希少発達障害であり、社会性(過度のなれなれしさ)やコミュニケーション(過剰な多弁)などに強みがあることが特徴である。ウィリアムズ症候群は自閉症と行動面で対極をなす表現型だと考えられていることが多い。我々の目的はウィリアムズ症候群の表現型症状の範囲およびウィリアムズ症候群と自閉症性障害の関連をよりよく理解することである。
手法:
本研究は年齢が4歳から37歳のウィリアムズ症候群を併発している自閉症性障害のフランス人患者を対象にした。行動評価は自閉症診断質問票−改訂版(Autism Diagnostic Interview-Revised:ADI-R)と自閉症診断観察スケジュール(Autism Diagnostic Observation Schedule)を利用した。ウィリアムズ症候群責任領域の分子細胞学的特徴はFISH法で調査した。
発見:
FISH法によって9人の患者全員がウィリアムズ症候群に共通する欠失を有していることが確認された。9人全員がADI-RとADOSの両方で自閉症の診断基準に適合しており、社会的相互作用とコミュニケーション(言語表出がないことを含めて)に典型的で重度の障害を有していた。加えて、患者は時間経過とともに社会的コミュニケーションが改善していた。
結果:
この結果から、自閉症とウィリアムズ症候群の共存症は予想されるより発生頻度が高く、ウィリアムズ症候群に共通する欠失は、過剰な多弁や過度のなれなれしさから発話言語の喪失や社会的関係に問題があることまでを含む社会的コミュニケーションの連続体であることを示唆している。ウィリアムズ症候群と自閉症が共存するという認識を持つことは、ウィリアムズ症候群は自閉症の行動表現型の正反対の症状を示すという共通認識を覆すものであり。自閉症を有すると診断されたウィリアムズ症候群患者の認知の改善に寄与する可能性がある。
(2012年3月)
目次に戻る