ウィリアムズ症候群における運動活動と運動企図の理解
Understanding motor acts and motor intentions in Williams syndrome.
Sparaci L, Stefanini S, Marotta L, Vicari S, Rizzolatti G.
Department of Neuroscience, University of Parma, Parma, Italy; Department of Neuroscience, Child Neuropsychiatry Unit, Children's Hospital Bambino Gesu, Rome, Italy; Institute of Cognitive Sciences and Technologies, CNR, Rome, Italy.
Neuropsychologia. 2012 Mar 24. [Epub ahead of print]
ウィリアムズ症候群は希少遺伝子病であり、見知らぬ人に対する異常に過度な社会的態度を伴う。この性格的特徴は社会的交わりの困難を伴っており、他人の心理状態を理解できないことに起因する可能性が、少なくとも部分的にはある。ウィリアムズ症候群患者のメンタライジング(他者の心理を行動から想像や理解する能力)能力に関する研究はしばしば相反する結果に導かれる。特定の障害を明らかにした研究もあれば、メンタライジング能力が維持されているという研究もある。しかしこれまでのところ、ウィリアムズ症候群患者について他者の運動企図を推論を用いないで理解する能力を検査した研究はない。本研究では、コンピュータを使って手と物体の相互作用を表現した絵を用いた行動課題を用いてこの能力を調べた。ウィリアムズ症候群患者に対して、まず他人が何をしているかを聞き(例:読む気がないことを意味する課題)、続いて、最初の質問に正しく答えた場合は、観察された運動活動の底流をなす運動企図を記述してもらった(例:他者の運動企図を推論を用いないで理解することを必要とする課題で、なぜその行動が行われたのか)。調査の結果、ウィリアムズ症候群患者は、正常に発達して、精神年齢を一致させた対照群や、歴年齢を一致させた対照群に比べて、他人が行っていることの理解(例:運動活動の理解)を間違えることが多い一方で、なぜ他人がそのような行動を行うか(例:運動企図の理解)については精神年齢相応の成績を示す。この発見はウィリアムズ症候群における社会的行動における障害を理解する新しい視点を提供する可能性がある。
(2012年4月)
目次に戻る