読字認識に対する重度視空間障害の因果関係:ウィリアムズ症候群からの証拠



Consequences of severe visual-spatial deficits for reading acquisition: Evidence from Williams syndrome.

Dessalegn B, Landau B, Rapp B.
a Department of Psychology , University of Chicago , Chicago , IL , USA.
Neurocase. 2012 May 14. [Epub ahead of print]

文字表現を正確に読みとる技能に必要となる視空間表現の実態をよりよく理解するために、2人のウィリアムズ症候群患者の書字言語能力を調査した。ウィリアムズ症候群は発達遺伝子疾患であり、重度の視空間症遅滞がありその障害は確立されている。ケーススタディ手法を用いて、2人の読字成績と全体的認知能力、音韻能力、視空間能力の関連を調査した。2人は言語及び非言語認知能力や音韻能力(その他にも歴年齢と教育機会)が非常に似通っているにもかかわらず、読字能力や書字能力は5級程度の差がみられた。書字成績の差は両者の視空間障害の重症度と実態の差異が原因であることの証拠を提示する。さらに、視覚刺激の方向処理に関する特定の困難さが、2人のうちの1人の読字障害と関連していることを示す。これらの結果から、視空間能力が読字理解プロセスに影響を与えていること、ウィリアムズ症候群患者が読字発達における視空間処理プロセスの役割に関する貴重な情報を提供できる情報ソースになる可能性を示している。

(2012年5月)



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