ウィリアムズ症候群における社会脳の発達:現在の状況と今後の研究の方向性
Social brain development in williams syndrome: the current status and directions for future research.
Haas BW, Reiss AL.
Department of Psychology, The University of Georgia Athens, GA, USA.
Front Psychol. 2012;3:186. Epub 2012 Jun 8.
ウィリアムズ症候群は神経発達疾患であり、染色体7q11.23領域に連続して存在する26個から28個の遺伝子が欠失を原因とする。ウィリアムズ症候群はしばしば独特の社会的表現型を伴うこと多く、顔貌処理に対する親和性の増加、社会的刺激に対する感度の低下、具体的な社会的関係を築く能力の低下などである。ウィリアムズ症候群の表現型の基盤をなす生物学的メカニズムを理解することで、社会脳の正常に発達に影響を与える遺伝子と神経の要素を明らかにできる可能性がある。本論文では、ウィリアムズ症候群の社会性と感情の機能に関連する脳の構造と機能の発達や神経画像を通じて本症候群を調査対象としている利用可能な研究をレビューする。このレビューではウィリアムズ症候群における非定型的な社会的発達の原因あるいは結果となる可能性があるいくつかの神経・行動メカニズムに焦点をあてる。特に、ウィリアムズ症候群の社会的行動の独自性が、顔貌に対する皮質表現の変異あるいは遅れ、腹側経路内の接続性、扁桃体の構造と機能、脳内の接続発達がどの程度長期間あるいは短期間に及ぶか、などと関連しているかを議論する。我々はウィリアムズ症候群の行動および神経画像に関する現存する研究と正常な脳の発達に関する研究を統合する。遺伝子や環境要因がウィリアムズ症候群の社会脳の発達にどのような影響を与えているか、および今後の神経画像および行動に関する研究がウィリアムズ症候群の社会脳の発達をどのように明らかにするかを結論とした。最後に、現在行われている研究をどのようにしてウィリアムズ症候群患者の社会的発達の治療成果につなげるかを議論する。
(2012年6月)
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