注意欠陥は症候群かつ領域特異的な症候性予後の予測を予見する



Attention Deficits Predict Phenotypic Outcomes in Syndrome-Specific and Domain-Specific Ways.

Cornish K, Steele A, Monteiro CR, Karmiloff-Smith A, Scerif G.
Centre for Developmental Psychiatry and Psychology, Monash University Melbourne, VIC, Australia.
Front Psychol. 2012;3:227. Epub 2012 Jul 11.

家庭及び学校における注意欠陥は多数の神経発達疾患で報告されている。しかし、注意がどのように初期の社会/認知面の学習に影響を与えるかついては未解明のままである。我々は、コミュニケーション分野では語彙、認知分野では初期の読み書き能力とその後の社会的行動分析に拡張するとう観点で、症候群横断的に同時期および長期の両面でこの問題に取組んだ。参加者は幼児(時点1の年齢は4歳から9歳)で、ウィリアムズ症候群(N=26)かダウン症候群(N=26)のどちらかを有する患者と正常に育った対照群(N=103)である。ウィリアムズ症候群の子どもは注意欠陥を提示する傾向が有意に多く(教師からの行動面の報告によれば、特に注意欠陥/多動性障害(ADHD)はダウン症候群より多い)、両グループとも対照群に比べて注意問題が多い。注意に関して差があるにもかかわらず、ダウン症候群の子どものウィリアムズ症候群の子どもも、単語の読みに関する認知能力については時点1及びそれから12か月後の時点2においてほぼ同等であったのに対し、語彙という観点における初期コミュニケーション能力には差が見られた。ダウン症候群の子どもにおいてはADHD様行動が強いほどその後の読み書き能力が劣ることが予見できるがウィリアムズ症候群ではその傾向はみられない、このことは初期発達の特定の局面においては症候群特異的な注意制約があることを示唆している。全体的に見て我々の発見した知見は、症候群特異的な行動面問題がそれぞれ異なる様々な領域において学習や社会認知的予後に影響を与えているかどうか、そしてもし影響を与えているとすればそれがなぜなのかをより詳細に調査することの必要性を強調している。

(2012年7月)



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