ウィリアムズ症候群の自己中心的および他者中心的空間表現



Egocentric and Allocentric Spatial Representations in Williams Syndrome.

Bernardino I, Mouga S, Castelo-Branco M, van Asselen M.
1 Visual Neuroscience Laboratory, IBILI, Faculty of Medicine, University of Coimbra, Portugal.
J Int Neuropsychol Soc. 2012 Oct 25:1-9. [Epub ahead of print]

ウィリアムズ症候群は神経発達疾患であり、特に空間航法や移動経路探索(wayfinding)に重度の視空間的障害を有していることを特徴とする。これらの能力の発達には、自己を中心とした空間表現(視覚者依存)と他者を中心とした空間表現(視覚者非依存)の確立が重要である。しかし、ウィリアムズ症候群において自己中心的および他者中心的空間表現が障害を受けているかどうかは明らかになっていない。本研究では、この障害における自己中心的および他者中心的な参照枠組みを検査した。ウィリアムズ症候群のグループ(n=18)と、歴年齢を一致させた対照群(n=20)、非言語精神年齢を一致させた対照群(n=20)、知的障害の対照群(n=17)に対して、コンピュータ上の三次元空間判断課題を実施した。その結果、ウィリアムズ症候群の被験者は、知的障害の対照群と比較した場合でも自己中心的および他者中心的の両方の空間判断の成績に障害が見られた。これは、両空間表現に影響を与えている実質的な障害がウィリアムズ症候群に存在することを示している。自己中心面の障害はウィリアムズ症候群でこれまでに報告されている背側視覚経路の障害と同調している。興味深いことに、他者中心的判断を行う際に発見された困難さは、ウィリアムズ症候群における腹側視覚機能をよりよく理解するための重要な手がかりとなる。

(2012年10月)



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