ウィリアムズ症候群患者における概数見積の発達:表現変化がない場合の学習



Learning without representational change: development of numerical estimation in individuals with Williams syndrome.

Opfer JE, Martens MA.
Department of Psychology, The Ohio State University, USA.
Dev Sci. 2012 Nov;15(6):863-75. doi: 10.1111/j.1467-7687.2012.01187.x.

学習は経験によってなされるが、学習のすべての場合において表現変化が含まれているわけではない。本論文では、学習と表現変化の区分に関する劇的なケーススタディを報告する。ウィリアムズ症候群患者と正常に発達した子どもに対して数直線上の数字の位置を聞くことで数の大きさの表現の短期的、長期的変化を調べた。正常に発達した子どもと同様に、ウィリアムズ症候群の子どもたちの概数見積の正確性は年齢とともに(実験1)、またフィードバックを行うこと(実験2)で向上した。しかし、ウィリアムズ症候群患者の見積に関する長期的、短期的両面の変化は非典型的な発達軌跡に従っている。すなわち、正常に発達し子どもの場合は、年齢や経験を増すごとに数の大きさの見積における正確さは対数−線形シフトを伴っているが、ウィリアムズ症候群患者の場合は、正確さは向上するものの、対数的見積パターンは継続的なトレーニングを行うことで成人になっても正確さが向上し続ける。これらの知見は、ウィリアムズ症候群における概数見積の発達は停止かつ非典型的であることを示唆している。

(2012年11月)



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